最近、特撮好きってオトナに会うことが多いです。オトナもこどももおね~さんも、という感じですよ。
で、そんな特撮好きが意外と見ていないんだけど、超オススメだよ、というのがウルトラマンガイアです。突然ですが、平成ウルトラマン三部作の3作目、ウルトラマンガイアの紹介をしてみたいと思います。
ちなみに仮面ライダーはダブルとドライブ、スーパー戦隊はカーレンジャーとシンケンジャー推しです。
まず、ガイアを語る上で外せないのが、ライバルの存在。
正義の味方か、悪魔の使者か… ふたりのウルトラマンが登場
主人公はガイアという、ウルトラマンらしいウルトラマンです。ガイアはデザインがシンプルで、初代ウルトラマンに近い、赤と銀がメインのデザインになっています。そして、ウルトラマンガイアには、ライバルが出てきます。それがアグルです。アグルは青いウルトラマン。それまでに青いウルトラマンってのはいなかった、正確には、青いことがアイデンティティのウルトラマンがいなかったんです。
地球にとって人間とは何か?
ガイアという名前からもわかるかもしれませんが、このウルトラマンの世界では、ウルトラマンは宇宙人ではなく、地球出身で地球が赤と青、ふたりのウルトラマンを生み出した、というお話です。時代は現代、環境を破壊して野生生物を絶滅させ、地球自身を破滅に追いやるかもしれない現代の人類が描かれていて、その中で、ふたりの人間が地球からパワーを授かるんです。
赤いウルトラマン・ガイアは、人間を信じているんですが、青いウルトラマン・アグルは、人間がいない方が地球にとってはいいんじゃないか、って考えている節があるんです。その葛藤や対立がひとつの軸になるんですが、もちろん怪獣も出てきます。
怪獣も生き物なので、自分のテリトリーを守るために暴れるんですが、地球の怪獣は野生動物と同じような扱いなんですね。田舎の集落に熊が現れる感覚に近いのかな、と思います。なので、青いウルトラマンは怪獣に味方したりします。
宇宙にとって地球とは?
そんな地球なのですが、宇宙からも怪獣がやってきます。地球の怪獣とウルトラマンというローカルな戦いは、外来種の登場によって、むしろ手を組むことになる、という燃え展開。宇宙からの敵に対して、地球の怪獣が団結する、というのは最近の映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』でも見られた展開ですね。悟空とピッコロ、ベジータだったり、正義超人と悪魔超人だったり、ライバルが味方になるっていうのは燃えますよね。
(ちなみに、劇場版『ウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ&ウルトラマンガイア 超時空の大決戦』(1999年3月公開)では、最近の平成ライダー映画で見かけるメタ展開もしてたし、濱田岳も出てた…)
で、どうして地球に怪獣がやってくるのか、その理由が面白いです。宇宙の大いなる意思、というのがラスボス的なものになるんですが、地球は「宇宙という体にとっての悪性の腫瘍」みたいな思想なんですね。前述の通り、地球人は地球を大切にせずに環境を破壊し続け、それが駄目になる前に宇宙に出ようとする… たしかに、イナゴのようです。なので、投薬したり、手術をしたり、というのが宇宙怪獣側の言い分。
しかも、作中の人類は、地球を守るためには、他の星の生物をすべて消滅させるしかない、そんな主張に傾いたりもします。怪獣がいる星を破壊する兵器を作り、その兵器を使おうとする人類に対し、主人公は説得を試みますが、青いウルトラマンには「それは人類の希望だぞ。それを打ち砕く勇気があるか?」とまで云われます。
謎解き要素
簡単に答えが出せない問題をテーマにストーリーが展開しますが、その中でも謎解き要素というか、難しい言葉が出てくるのもガイアの特徴。恐らくはエヴァンゲリオンに影響を受けたような要素がいくつかあります。宇宙から襲来する人類の滅亡を望む存在「根源的破滅招来体」、1980年代に世界中で誕生した天才児「アルケミー・スターズ」と設定としては「これって…」と思うところがありますが、もちろんエヴァとは違う帰結があります。(残酷な天使は出てきますが、エヴァほど難しくないです。)
こういった設定、そしてストーリーが1年を通して描かれるわけです。
1年を通して描かれるチーム制組織のドラマがすごい
ウルトラマンガイアは全51話です。30分番組なので、時間にして20時間以上のドラマがあるんですね。戦隊モノや通常のドラマだとそれだけの時間があると中だるみをしたり、不要なエピソードも出てきそうなものですが、ウルトラマンガイアはそれがありません。その理由のひとつに登場人物の多さが挙げられます。通常のウルトラマンって、主人公の周りにいるチームのメンバーはだいたい5〜8人程度です。が、ガイアに登場する防衛隊・XIG(シグ)は、航空部隊や地上部隊、レスキュー部隊、海洋探査部隊が、各3名ずつのチームに分かれて任務を遂行するという設定となっており、それぞれのドラマも描かれています。しかも、最終回にはちゃんとみんなに見せ場があるという。これだけ大人数のドラマが描けるのは1年間を通したドラマだからですし、中だるみしない脚本はすごいと思います。
ユニークな構造のメカが新しい
主人公が所属する組織には、各チームごとにメカがあります。防衛隊のメカはウルトラマンシリーズの中でも人気の要素なんですが、ガイアに登場するメカは「コンテナビークルシリーズ」というもので、どれも六角柱形から変形するという共通点があります。主人公の乗る飛行機も、戦闘機も、戦車も潜水艦も… そのシーケンスがいろいろあって、おもちゃとしても楽しいんですよね。他のウルトラシリーズでは、いろいろな要素が詰め込まれているウルトラマンタロウのメカ、変形合体するウルトラマンメビウスのメカが好きなんですが、種類の多さを考えると「コンテナビークルシリーズ」はすごくよくできていますし、一番好きです。
脇役を固める俳優が豪華
いかに設定やストーリーが面白くても、ドラマは役者さんも大事です。とくに特撮ドラマは、主人公が若い俳優だからこそ、脇を固めるベテランが大切です。ウルトラマンガイアは、主人公の上司に宇梶剛士、渡辺裕之、平泉成とベテランの俳優陣をキャスティングしていて、その部分でもとても安定感があります。画面が引き締まるんですよね。そして、地球全部を舞台に繰り広げられるお話ということで、外国人キャストがめっちゃ多いのも特徴です。稲川素子事務所大活躍、ってくらいに出てきます。
ということで、デザイン、設定設計、シナリオと、特撮では他にないくらいにオススメの作品なのですが、登場がちょっと早すぎた気がします。子どもには難しいだろうし…
仮面ライダーや戦隊ものに押され気味の感のあるウルトラマンですが、過去の遺産に頼らない、素晴らしい作品ですので、機会があったらぜひ見ていただきたいなぁ、と熱烈にオススメする次第です。今から20年前の作品ですが、今見ても普通に見られますし、今なら hulu で全話見られますし…
おじさんの目線
ウルトラマンが変身して画面に向かって迫ってくる画はいつ見てもテンション上がる!
【関連リンク】
ウルトラマンガイア(公式ページ)
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